ここでは中学・高校の教科では取り扱っていない実社会やキャリア構築の上で役立つ書籍を紹介していきます。
現在は、学び方、お金の教育、近現代史、教育方法、文化・その他に分類しています。
<学び方>
『Learn Better』(アーリック・ボーザー)
学習の科学の研究に基づいた、“効果的な学び方”について6つのステップに分けて解説している入門書です。高校生くらいから読み始めて、自分の学び方を見直すきっかけにして欲しいです。
『何のための「教養」か』(桑子 敏雄)
そもそも教養とは何か、何のために学ぶべきなのか、どんなときに役立つのか、といった本質的な問いについて解説している良書です。
『使える脳の鍛え方』(ピーター・ブラウン他)
知識を上手に記憶し、引き出せるようにする、“効果的な学び方”について脳科学や
認知科学の研究から紐解いた実践法を紹介しています。
『銀河の片隅で科学夜話』(全卓樹)
世の中に「文系/理系」という区分けが不要であることが理解できる、素晴らしい本です。
<お金の教育>
『お金のむこうに人がいる』(田内 学)
毎回小クイズから始まる「お金」を軸に経済について専門用語をなるべく使わずに解説してくれている良書です。「大阪城を建てたのは誰?」と聞かれて「大工さん」と答えたくなるあなたは、間違っていないけど、この本を読むと、別の視点を得ることができます。そして、それは、たぶん、あなたにとってテスト勉強よりもずっと価値のあるものになるでしょう。
『お金の教室』(高井 浩章)
学校では教えてもらえないおカネに関する教養です。会計知識ではなく、「おカネ」とは何なのか、ぜひ高校生になるまでに読んでほしい本です。もし、もっと高度な知識が欲しくなったら、こちらもおすすめです。
『お金の教養』(出口 浩明)
高校生から大学生くらいにはぜひ読んで頂きたい本です。20代となっていますが、10代でも十分理解できる内容です。
<近現代史>
終戦後、満州から3人の幼児と共に、一年がかりの逃避行を経て故郷の長野にたどり着くまでの記憶と記録をまとめたエッセイ。このとき4歳だった子供があの藤原正彦先生。いまの日本人には遠く感じる“難民”だが、ほんの2−3世代前に自分達の国民が難民だった事実を学校では教えない
現在進行形の日本の課題についてしっかりとしたデータに基づいて分析された本。
ただデータの読み方を示すだけでなく、著者なりの解決策が提示されている点で、他の分析書(日本で名著とされる書に多い、回りくどい情緒的表現が多い)とは異なり、簡潔で分かり易い文章で書かれていて、「文章の書き方」としても参考になる
中高生には少し難しいかもしれませんが、歴史の教科書では教えてくれない、「なぜ日本はデータを見れば理解できそうな勝ち目の無い戦争を選んだのか」という問い、行動経済学の視点から迫った本
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(加藤 陽子)
日本の中学高校ではほとんど取り扱わない近現代史ですが、世界に出て日本について聞かれるのは、縄文時代でも平安時代でもなく、昭和以降のことです。この時代について自分なりの意見が言える人になって欲しいです。
日本の歴史の授業ではほとんど近現代史は取り扱われません。そのため、かつての日本が、韓国・台湾・中国東北部の一部までを支配していたこと、その意味について語られることもほとんどありません。日本列島の歴史だけでなく、島の外で何をしていたのか、を知る上でも貴重な資料です。
『敗北を抱きしめて』(ジョン・ダワー)
日本の歴史ではほとんど触れない戦後史を、民衆の暮らし、という観点から捉えたドキュメンタリーです。日本はいつの間にか「加害国」から「敗北によって被害を受けた国」という歴史修正が行われている現代の日本の教育では、自ら海外の調査資料などを元に書かれた書物に触れることで、「世界から見られている日本の姿」についても認識しておくことが重要です。
『私たちはどこまで資本主義に従うのか』(ヘンリ・ミンツバーグ)
中高生には少し難しいかもしれませんが、現在の米国型資本主義の歪んだ現実やそれに変わる新しい社会システムについて考えるきっかけが得られます。
同時に、現在の社会を形成している仕組みを探究するきっかけとして、読み始めるには良い本です。
<教育方法>
『「探求」する学びをつくる』(藤原さと)
統一したカリキュラムがなく、同じ学年でもクラスが違えば全く別のことをしている西海岸の先進教育校、High Tech Highを軸に、探求学習の最前線とその背景にある教育思想について解説した本。High Tech High については、ドキュメンタリー映画「Most Likely to Succeed」もお勧めです。
『新・エリート教育』(竹村 詠美)
Learn x Creationの創立者である竹村さんが自身の足でトップボーディングから次世代教育を提供している国内外の教育機関を巡り、今の時代に求められる学びについてまとめたものです。
『第三の教育』(炭谷 俊樹)
20年以上前に、探求学習の可能性に注目し、ラーンネット・グローバル スクールを立ち上げた炭谷先生が、詰め込みでも自由放任でもない、創造性を育む学習方法にたどり着く道について書いた本です。
『なぜ、日本では本物のエリートが育たないのか?』(福原 正大)
フランスのエリート教育を紹介しながら、日本の教育の課題を指摘した良書。
もし、海外進学を考えているならぜひ、読んで欲しい本です。
オックスフォード大学で教えている苅谷先生が同校で実施しているチュータリング(少人数の対話型授業ー通常、教授1対2−3人程度の密度の濃いセミナー)を疑似体験できるように書いた本です。知識よりも問いの立て方、議論の展開方法を学ばせる方法について触れることができます。
『FUZZY-TECHIE』(スコット・ハートリー)
いわゆる理系・文系といった職能的な大学教育の分け方は時代遅れで、両方のエッセンスを理解している必要があることを数多くの取材記事から導いている本。
豊富な参考文献リストが役立ちます。
都立中学・高校で「教えない授業」を始め、数々の若い社会起業家を育てた先生による「学び方」についてヒントをまとめた本です。現在は新渡戸文化学園を拠点に様々な学校で、その教授法の普及を進められています。
『独学という道もある』(柳川 範之)
通信制大学から東大教授になった柳川先生による半生記とその学び方について書かれた本。私は、柳川先生が慶應義塾大学で講義をされていた際に彼の授業を取り、当時は講師だった先生が他の教授達よりも圧倒的に分かり易く、最新の理論を説明してくださったことが未だに印象に残っています。
<文化・芸術・その他>
『ビッグ・クエスチョン』(スティーブン・ホーキング)
重度の障害を持ちつつ、世界の解明にその生涯を捧げたホーキング教授の最後の著書。「神は存在するのか」「未来は予言できるのか」「より良い未来のために何ができるのか」こうした答えのない問いに対して、自分の知識を用いて思索を展開する面白さに触れることができる。
『アクターズ・スタジオ・インタビュー』(ジェイムズ・リプトン)
名司会者リプトンによる、映画俳優達のインタビュー。その対談は、役者の演技方法などにも鋭く切り込んでいます。読み物として面白いだけでなく、自分が何かを演じる時のヒントが詰め込まれています。
『病理学講義』(仲野 徹)
中学生でも十分読めると思います。近所のおっちゃん、おばちゃんに病気についてわかりやすく解説してみる、というコンセプトで書かれています。将来、医学を志す人にはぜひ読んで頂きたいです。
『5大宗教入門』(山中 俊之)
第一線で外交官としてご活躍され、ケンブリッジ・オックスフォード協会の関西支部で幹事を務めておられる山中先生による世界5大宗教の解説書です。中学生でも十分理解できる内容です
『17歳からの死生観』(山折 哲雄)
宗教学者である山折先生による高校生との問答集。海外に留学し、「日本人らしさ」とは何だろう、と考えたときに自分の考えを深めるネタとして使えます。
『世界の建築家解剖図鑑』(大井隆弘ほか)
古代から現代までの著名建築家の作品とその特徴を写真を一枚も使わず、イラストと簡潔な文章でまとめた傑作です。