4つのコア技能について
米国の大学が実施した調査によれば、学卒雇用主の93%は“学生がどのような学位を修めたかよりも、複雑な課題を、明解に分析し、他者と協力しながら解決していくコミュニケーション能力を持っていることの方が重要だ”と考えています。
( 出典: IT TAKES MORE THAN A MAJOR: Employer Priorities for College Learning and Student Success )
ミネルバ大学は、変化の激しい社会では、こうした既存の雇用主のニーズだけでなく、まだ存在すらしていない職業でも、卒業生が活躍できる能力を授けることが大学の使命であると考えています。そのために専門知識の習得だけでなく、環境変化に柔軟に対応できる「学び続ける力」を提供しています。
ミネルバ大学の初代学長を務めたStephen Kosslyn教授は、この「学び続ける力」を2つの思考技能と2つのコミュニケーション技能に分類、習慣化できる考え(Habit of Mind)と基盤知識(Foundational Concept)という特徴を持つ、約110項目のコンセプトに体系化し、学生がこれらの技能を流暢に使いこなせるようなる学習法を設計しました。
2つの思考技能
2つの個人技能は「クリティカル思考力:Critical Thinking」と「クリエイティブ思考力:Creative Thinking」です。
クリティカル思考力とは、ある事象に対して、見たまま、聞いたままではなく、問題の本質を論理的に整理し、自分の経験や様々な要因を考慮しながら、考えられる解決策を導き出し、現状に適した最良の選択を導く能力です。一方、クリエィティブ思考力とは、問題解決にあたり、様々なアイディアを発想し、それを試行、評価しながら、現状に合わせて柔軟な変更を行なう能力です。
2つのコミュニケーション技能
2つの対人技能は「プレゼンテーション能力:Effective Communication」と「対人コミュニケーション能力:Effective Interaction」です。
プレゼンテーション能力はレポートや文章を通じて人を動かすための技法や、大勢の人の前で行なうパブリック・スピーチや、急に話を振られた時の短いやり取り、会議でのプレゼンテーションを行なう際に有効な方法や自分に適したスタイルを知る能力です。一方、対人コミュニケーション能力とは、リーダーシップを発揮するために必要な、“人を動かす”様々な能力(交渉、説得の理論や倫理的フレームワーク)です。
講義では学べない4つのコア技能
こうした4つのコア技能は、いずれも知識の伝達では身につきません。技能を「知っていること」と「流暢に使いこなせること」には大きなギャップがあるからです。Kosslyn教授は、こうした技能は100%に近いアクティブラーニング環境と初めて会う人達との実践的な協働学習を通じて身につけられると述べています。
ミネルバ大学が少人数・セミナー形式の反転授業と多くのプロジェクト学習を軸にカリキュラム/教授法を構成している背景には、こうした理由があるのです。